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て分散したオフィス間での協調作業にも実用化されている。また、フロアのケーブル工事が不要な無線LANも研究が進み、現在2.4GHz帯と19GHz帯が実用化され最高10数Mbpsの伝送速度が可能であるが、動画を含むマルチメディア伝送にはもう一息である。

世界最大のコンピュータ通信網であるインターネットも、初めは4台のコンピュータをつないだ小さなLANからスタートした*9。日本では1994年に商用化されて以来、爆発的に利用者が拡大しFTTHの牽引役となっている。インターネットのアプリケーションの主なものとしては、電子メール、WWW、ファイル転送、ネットニュースなどがある。特に、WWWは文書内に文字も音楽も動画も様々な形の情報を取り込むことができ、他の文書を参照するリンク機能や電子メール機能もあるため、この機能が社内向けのシステムに転用されイントラネットとして活用されている。

また、阪神大震災では、パソコン通信により蓄積型の情報の価値が認識された。テレビやラジオのように放送内容が後に残らないメディアでは、情報が断片的にしか得られない。壁新聞や電柱への張り紙では、その場に行かなければ確認できない。被災者による第一次情報が発信され、全国から繰り返しメッセージが読むことができ、メッセージの検索も容易なパソコン通信は、非常時における有力な情報手段であった。

しかし、インターネットやパソコン通信には、デマ情報やジャンクメールなどの迷惑情報も後を絶たない。クレジットカード情報の盗聴やデータの破壊、改ざんなど外部からの不正な侵入への対策も必要である。特にインターネットでは管理者がおらず、全世界に開かれたネットワークであるため、インターネットとプライベートネットワークとの間にファイアーウォールと呼ばれる情報の制御機能が設けられている。また通信者間で情報そのものを暗号化する、秘密鍵や公開鍵方式も用いられるようになった。イントラネットでも、ネットワークOSやWWWサーバによるパスワード方式、インターネット標準の公開鍵方式など特定の利用者だけが接続できる仕組みが発表されている。


*9 1969年に誕生した米国国防総省をスポンサーとするアーパネットをルーツとし、1990年にアメリカ科学財団に引き継がれ現在に至っている。TCP/IPプロトコルをサポートするUNIXオペレーティングシステムがワークステーションに標準搭載されたため、ワークステーションの普及とともに世界に広がった。特に1989年にスイスの欧州素粒子物理学研究所で誕生したWWWは、テキスト以外にも音声、画像、などのあらゆる情報を統一的に扱うマルチメディア性が注目を浴び、1993年のWWWの検索ソフトの開発により今日のインターネットブームをひきおこした。

 

 

 

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